会社が社員の素行調査をする理由とは?違法になる場合
   

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会社が社員の素行調査をする理由とは?違法になる場合

社員の普段の生活や行動を知るために、素行調査を行いたいと考える経営者様も多いのではないでしょうか?

しかし、素行調査のやり方によっては個人情報保護法違反やプライバシーの侵害などの違法行為に当たってしまう場合があります。

素行調査のやり方によって違法行為とみなされてしまうと、会社が訴えられるといったトラブルに発展する可能性もあります。

そこで本記事では会社が社員の素行調査をする理由や、調査が違法にあたる場合などを紹介していきます。

会社が社員の素行調査をする理由

素行調査とは、対象となる人の生活や行動を調査して身辺を明らかにすることです。

社員の素行調査だと業務中はもちろん、休日や退勤後の活動、交友関係などさまざまなことを調べます。

会社が社員の素行調査をする理由は、調査対象者の行動から自社の利益損失を未然に防ぐためです。

具体的には以下の理由などが挙げられます。

 

【社員の素行調査をする理由】

  • 競業避止義務違反の疑惑がある(ライバル企業に情報を流すなどの行為をすること)
  • 営業で外回りをすると偽り、何もせずに遊んでいる疑惑がある
  • 暴力団などの反社会的勢力関係者の疑惑がある

これらのような疑惑がある社員をそのままにしておくと、会社の社会的信用が損なわれることや、情報流出によって会社の利益に大きな損害が出るなどのことが予測されます。

そのため、このような疑惑がある社員は会社としても迅速に対応しなくてはなりません。

しかし、会社側は疑惑があるという理由だけで社員を解雇することはできません。

不明瞭な理由で社員を解雇してしまうと、不当解雇で逆に会社が訴えられる可能性があるからです。

そこで、素行調査にて不正を明らかにする証拠を見つけ、社員に対して適切な対応をするために行われる場合があるのです。

 

素行調査によって明らかになった社員の不正事例

ここでは、社員の素行調査によって明らかになった外回りの営業担当の事例を3つ紹介します。

 

【事例】

  • 競合他社に情報を流出させている
  • 外回りの営業中にパチンコ店に通っている疑惑
  • 反社会的勢力との関係がある疑惑

 

事例①競合他社に情報を流出させている

会社の取引先からの密告によって、会社の役員Aが競合の役員と頻繁に会っているとの情報が入り、素行調査を探偵に依頼。

調査の結果、役員Aは競合の役員に次に必要な情報は何かを聞いている音声や、現金の入った封筒を受け経っている写真撮影に成功。

これらの証拠をもとに、会社は役員Aを刑事告訴しました。

 

事例②外回りの営業中にパチンコ店に通っている疑惑

不動産営業をしており、近年営業成績が低迷してきている会社員B。

最近ではほぼ成約件数が無く、他の従業員から日中パチンコ店に入り浸っているとの密告もあり、素行調査を探偵業者に依頼することを決意。

素行調査の結果、外回りの営業に行くと会社を出た後は、業務時間ずっとパチンコ店や雀荘に入り浸っていたことが判明。

依頼主は素行調査で得られたこの証拠をもとに、会社員Bを懲戒処分にしました。

 

事例③反社会的勢力との関係がある疑惑

社員からの密告により、役員Cが反社会的勢力を思わせる風貌の人間が運営している賭け麻雀の店に通っているという情報を入手。

会社は探偵業者に素行調査を依頼し、調査の結果賭け麻雀を運営している人間は、反社会的勢力として登録されていることを確認。

写真や動画によって得た動かぬ証拠をもとに、役員Cを懲戒処分にしました。

 

素行調査の証拠である「個人情報」と「プライバシー情報」の違い

会社にとって不利益をもたらす疑惑がある社員の不正を明らかにするためは、確固たる証拠が必要です。

確固たる証拠にはさまざまありますが、代表的な証拠としては「個人情報」と「プライバシー情報」が挙げられます。

この2つはよく混同されがちですが、細かい部分で情報が異なります。

以下に、個人情報とプライバシー情報それぞれの特徴をまとめました。

 

個人情報とは

個人情報保護委員会事務局によると、個人情報とは直接個人を特定できるものと、別の情報と照らし合わせることによって特定できるものを指します。

個人情報にあたる具体例を紹介します。

 

【直接個人を特定可能な情報の例】

  • 住所
  • 生年月日
  • 学歴
  • 電話番号
  • メールアドレス
  • 本人と識別できる写真や映像、音声
  • 家族構成
  • マイナンバーや住民票コードなど、番号制度によって国によって割り振られた個人識別番号

 

【別の情報と照らし合わせることによって特定可能な情報の例】

  • 身長や体重などの身体的な特徴
  • 職業や職種
  • 所得の額
  • 社会的な地位・身分など

これらの情報が個人情報に該当するものです。

 

プライバシー情報とは

プライバシー情報は個人情報ほど厳密な定義があるわけではないですが、一般的には日本国憲法第13条で保証されている幸福追求権に該当し、「私生活やプライベートをみだりにさらされない権利」のことを指します

具体的には以下の情報のことを指します。

 

【プライバシー情報に該当するもの】

  • レシートやクレジットカードの利用履歴などの消費行動の情報
  • PCやスマホなどの検索履歴に関する情報
  • 友人や恋人などの人間関係に関する情報

プライバシー情報では、個人の推測が可能なすべての属性情報及び、プライベートでの秘密などの情報すべてが対象になります。

 

会社が行う社員の素行調査が違法にみなされる場合

個人情報とプライバシー情報は、法律や憲法によって守られているため、扱い方や取得方法によっては違法になるケースがあります。

そのため、社員の素行調査を行う場合は違法にならないように行うことが重要です。

素行調査が違法になるケースは、「調査のやり方に問題があり違法になるケース」と「調査で得た情報の取り扱い方によって違法になるケース」の2つに分かれます。

関連記事>>会社が社員の素行調査をする理由とは?違法になる場合

 

調査のやり方に問題があり違法になるケース

調査のやり方に問題があり違法になるケースでは、以下の4つの場合が考えられます。

 

【違法になるケース】

  1. ストーカー規制法違反になってしまった
  2. 住居侵入罪になってしまった
  3. 器物損害罪になってしまった
  4. 有線電気通信法違反になってしまった

 

違法になるケース①ストーカー規制法違反になってしまった

素行調査の調査対象である社員が尾行に気づき、ストーカー被害を訴えられた場合はストーカー規制法違反に該当し、違法行為とみなされます。

また、都道府県公安委員会がストーカー行為を認めてからも、その人のことを尾行や張り込みをした場合はより違法性が高くなってしまうので注意しましょう。

 

違法になるケース②住居侵入罪になってしまった

調査対象となる社員が不正をしている証拠確保のためや、盗聴器を設置する目的などで、その社員の自宅に無断で入ることは違法行為になります。

今の日本の法律では盗聴器を設置すること自体は違法行為ではないですが、設置のために住居に許可なく侵入すると住居侵入罪に該当します。

 

違法になるケース③器物損害罪になってしまった

調査対象の社員の自宅電話などを盗聴するためや、物的証拠を入手するために建物を壊すことは違法行為です。

また、監視カメラを設置するときも場合により器物損害罪に該当し、違法行為となります。

 

違法になるケース④有線電気通信法違反になってしまった

調査対象となる社員の携帯電話に盗聴器を仕込んで、通話内容を盗聴することは違法行為です。

有線電気通信法違反に違法した場合は懲役二年以下または罰金五十万円以下に課せられます。

 

調査情報の取り扱いで違法となる事例

素行調査によって入手した情報を、口頭での伝達や文書・SNSなどを利用して第三者に開示することは違法行為です。

この違法行為によって、名誉毀損罪・プライバシーの侵害・個人情報保護法違反のいずれか、または複数に該当し民事または刑事責任を負う可能性があります。

基本的に、状況によってどのような違法行為を行い、どの罪に問われるのかが異なります。

情報の取り扱いには最新の注意を払い、違法行為にならないようにしましょう。

 

社員の素行調査で違法行為をしないためには探偵に依頼することがおすすめ

社員を素行調査する取り扱い方によって違法行為になってしまうことを説明しました。

しかし、これらの違法行為は探偵業を営む人間が行うと違法行為とみなされない場合があります。

なぜ探偵業を営む人間だと違法行為とみなされないのかについて、詳しく説明していきます。

 

関連記事>>探偵・興信所の比較ポイント・選び方

 

理由①探偵業者の素行調査は認められている

探偵業を営む人間が行う調査で、違法にならないことはストーカー行為です。

会社の人間などが社員の調査として張り込みなどを行うと、ストーカー規制法にかかってしまい違法となります。

しかし、探偵業を営む人間の場合は「探偵業の業務の適正化に関する法律」によって、探偵業を営む際には張り込みや尾行などが認められているため違法になりません。

ちなみに警視庁のホームページでは、探偵業務について以下のように記述されています。探偵業務とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行いその調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいいます。

 

理由②探偵業者は個人情報やプライバシーの保護が義務づけられている

探偵業を営む人間は、探偵業法によって個人情報やプライバシーを守ることは義務付けられています。

そのため、個人情報・プライバシー情報の取り扱いに関して違法になるリスクが少ないのです。

具体的には、以下のような義務が探偵業法で定められています。

 

探偵業法で定められている情報の取り扱いに関する義務

【探偵業法第8条2項:重要事項の説明等】

探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該依頼者に対し、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)その他の法令を遵守するものであることを、書面を交付して説明しなければならない。

 

【探偵業法第10条:秘密の保持等】

探偵業者の業務に従事する者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。

 

探偵が素行調査を行った場合、調査によって入手された情報は適切に扱わなければならないという義務があり、これに違法すると懲役や罰金が課せられます。

そのため、探偵に依頼することで名誉毀損罪や個人情報保護法、プライバシーの侵害などの違法になるリスクが少ないというわけです。

会社側も訴えられる危険性も少なくなるので、社員の素行調査をする際は違法行為にみなされにくい探偵業者に依頼することをおすすめします。

 

探偵の素行調査でも違法になる場合がある

いくら探偵業を営む人間でも、行うすべての調査が違法ではないわけではありません。

調査のやり方に違法性があることや、情報保護の義務を破ることは違法行為となります。

具体的には、以下の行為が違法となります。

 

【探偵業者でも違法になる行為】

  • 張り込みや尾行を執拗に行い、社員のプライバシーを侵害するような行為
  • 素行調査によって入手した情報を、依頼主以外の第三者に流出させる行為
  • 調査対象者が不正を行っているという証拠を入手するために、無断で対象者の住居に侵入する行為
  • 調査対象者の住居に盗聴器などを設置する目的で住居に侵入する行為
  • 調査対象者が不正を行っている証拠を入手するために、建築物を破損させる行為
  • 調査対象者が所持している携帯電話などに盗聴器を仕掛け、通話などを聞く行為
  • 盗聴した内容を調査依頼主以外の第三者に流出させる行為

 

たとえ探偵業を営んでいたとしても、上記に該当するような行為は違法となります。

しかし、この場合罪に問われるのは違法行為をした探偵側になります。

依頼した会社が違法行為をしたとして罪に問われるようなことにはならないのでご安心ください。

 

探偵に素行調査を依頼する際の費用や調査内容

こちら記事では、探偵に素行調査を依頼した際にかかる費用相場や調査内容について、詳しく紹介しています。

探偵事務所に依頼する前に、こちらの記事を一度確認しておきましょう。

 

素行調査の調査内容と費用相場

 

違法リスク無く素行調査をする場合は探偵に任せるのがおすすめ

いかがでしたでしょうか。

素行調査をする場合は、法律や憲法に違法にならない形で行うことが重要です。

違法となる素行調査を行った場合、逆に会社が訴えられるといった不利益を被る可能性があります。

法律や憲法について知識がないと、知らず知らずのうちに違法行為をしてしまう可能性があるので、社員の素行調査をしたいと考えている場合は、プロである探偵業者に依頼することをおすすめします。

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